30年経っても色あせない。吉田秋生「吉祥天女」

吉田秋生さんといえば、現在では「海街diary」の原作者として有名ですが、30年ほど前、私が高校生の頃は「吉祥天女」を連載されていました。
別冊少女コミックだったと記憶しています。

当時、少年ジャンプに夢中になっていた私が、わざわざ少女コミックを買うのは「吉祥天女」のためだけでした。他にどんな作品が連載されていたのか全く覚えていません。「吉祥天女」を読んだらクラスの回し読みに回してしまい、そのまま行方不明になっていました。
当然、単行本も買いました。

何故、そこまで惹かれたのか。
第一に絵柄です。

大友克洋さんの「幻魔大戦」によく似た絵柄だったのです。
登場人物の叶小夜子しかり、遠野涼しかり、遠野暁しかり。
瞳の中に星なんぞ輝いていません。
(連載終盤の頃には若干絵柄が変わってしまい残念でした。)

内容も、他の連載作品とは異なり異質そのもの。
叶家の莫大な財産を狙う遠野親子(暁とその父)に対抗するため、長野の親類の家に預けられていた小夜子が呼び戻されます。
両親を亡くし病弱の妹と二人、遠野家に引き取られた涼は時には小夜子を助けますが、叶家の財産乗っ取りを仕掛ける遠野家の人々が次々と死を遂げていき、最後に暁が亡くなった時、彼は重大な決断を下すのです。

叶小夜子とは何者なのか。何故この世に生まれてきたのか。
ちょうど年代が小夜子たちと同じ年頃でしたので、毎日のほほんと生きていた自分には衝撃的過ぎる内容でした。
結末はバッドエンドなのかハッピーエンドなのか、読む人によって意見が分かれると思います。
高校生の頃は、何てひどい終わり方なんだ。と憤慨したものですが、30年経った今、これで良かったのかもしれないと思うようになりました。